法人の節税対策に使われる逓増定期保険とは | 法人保険ナビ

ドル建て養老保険を導入することにおいての注意点(メンバー専用記事)

ドル建て養老保険を導入することにおいての注意点についてまとめています。メンバー専用記事となります

① 半年払いや年払い保険料が賞与(ボーナス)ではなく、役員報酬となる根拠

【参照】 国税庁のホームページ
■ No.5363 養老保険の保険料の取扱い

保険料の取扱い

2 死亡保険金および生存保険金の受取人が被保険者またはその遺族の場合

その支払った保険料の額は、その役員または使用人に対する給与となります。

なお、給与とされた保険料は、その役員または使用人の生命保険料控除の対象となります。

(注2) 役員に対する給与とされる保険料の額で法人が経常的に負担するものは、その役員が受ける経済的な利益の額が毎月おおむね一定であるので、定期同額給与 となります。

【解説】 法人が負担した保険料が「定期同額給与」になるかどうか

役員給与は定期・同額が基本であり、期首から3ヵ月を超えての特別の理由がない増額は税務上損金とは認められません。
そのため、 役員が負担すべき生命保険料を法人が負担している場合(みなし役員報酬)で、 保険料を年払いや半年払いの場合では、支出が毎月行われるものでないことから、そのみなし役員報酬額は定期同額給与に該当しないのものと見られがちです。

しかし、国税庁のホームページでの解説に書かれている通り、 「その供与される利益の額が毎月おおむね一定」かどうかは、法人が負担した費用の支出時期からの判断ではなく、経済的利益が毎月おおむね一定であるかどうかで判定することになります。

そのため、法人の負担した費用が毎月支出するものでない場合であっても、当該役員が供与を受ける経済的利益が毎月おおむね一定であるときは、 定期同額給与に該当するとされています。

おまけ【逆養老保険の訴訟】

逆養老の税務調査(2016.1.7)の記事

すでに話題になっているようですが、逆養老(全損養老保険)の税務調査が相次ぎました。

平成24年1月に最高裁判決が出され、個人の一時所得に関する必要経費部分について納税者が負けることで確定したものを受け、一昨年・昨年と課税庁が一気に動きました。狙いは保険会社およびその保険代理店のお客様です。逆養老の加入先を洗い出し、昨年から重点調査を開始しました。

この時に税務調査の対象として問題になったのは個人へ名義変更をした後に正しく納税したかどうかについてです。個人の一時所得の申告内容から、「逆養老」と判断できるものは各税務署で申告書を洗い出して調査対象にしました。

この時の調査では、満期金を受け取った個人が、正しく確定申告をして納税したかどうかを問われました。会社で契約した逆養老保険(=全損養老保険)の税務処理について指摘があったわけではありません(=「50% 支払い保険料 + 50%みなし役員報酬」の経理処理が問題になったわけではありません)

一時所得の計算方法で争われた最高裁判決でも、補正意見の中では、養老保険の保険料を全額損金にしたことを前提とした上での、その後の個人の納税給与課税についてが論点になっていました。

逆養老の経理処理について最高裁判所の判例で負けたのではないのですが、理解の浅い税理士は、逆養老保険の経理処理がダメになったと、間違った理解をして情報発信をしている方がいるので注意です。

逆養老保険活用における注意点

下記に養老保険を活用する場合の注意点について解説します。

全額損金の養老保険の現状

全損養老保険(逆ハーフタックスと呼ばれる)は、税務上に明確な規定がない上に、その合理性が疑問視され、このプランを活用するのは企業の租税回避行為(税金逃れ)という、一般的な税理士からの批判があることも事実です。

そのため、2014年以降は、法人保険に力を入れてきたソニー生命やアイエヌジー生命をはじめ、ほとんどの生命保険会社が、金融庁からの指導があったわけではなく、全損養老保険の販売を自ら停止しています。

このような現状から、今後に全損養老保険の保険商品が各保険会社から大々的に販売されるということは考えにくい現状です。

全額損金の養老保険の税務否認について

ウェブサイト等では、全額損金の養老保険の税務否認の記事がときどき見受けられます。過去に全額損金の養老保険の一時所得の税金計算部分で企業が負けたという判例があるのが、全損養老保険がウェブサイトで否定的に書かれている原因だと思います。

保険や税務の専門家でないと、この判例の正しい理解は難しいですが、実際には「保険料を全額損金で落としている部分が否認された」わけではありません。

全額損金の養老保険で国と企業の争点となったのは、社長が満期金を受け取った時の税金の計算部分です。過去の所得税法の基本通達 第34条 第2項 には、法人が負担した保険料も必要経費として満期金の受け取った場合の一時所得の必要経費に入れて税金の計算をしてもよいということになっていました。その結果、必要経費の額が大きくなったため、個人は税金を納めることなく満期金を受け取れていました。

この「必要経費」の計算部分が争点になっていたのですが、国税がこの通達(所得税法34条2項)の文章が読みにくいことで企業が間違った解釈をしてしまったので、この条文を読みやすく書き換えます!ということで必要経費には法人が負担した保険料部分は含まれないと明確に書かれました。よって、個人の必要経費は個人がみなし報酬として認定された部分だけだと、はっきり明記されたため、最高裁の判決で個人が負けることになりました。そして負けた個人が再計算をさせられて追徴課税を納めることになったのです。

つまりこの判決では、逆がけ養老保険の保険料が全損でないと判決が出たのではありません満期金の税金計算の部分がはっきりさせられたのです。逆に言えば、満期金を受け取った個人が一時所得の計算をしてしっかり納税すれば、税務上では大丈夫という認識が正しいのです。全損養老保険の保険料の経理処理については言及していないのです。

しかし、法人が負担した保険料も個人の必要経費として計上することで、過去においしい思いをしてきた個人は、自分の満期金にも過去にさかのぼって追徴課税をされるのではないかと恐れました。

各生命保険会社は、説明能力の乏しい保険代理店が引き続き全損養老保険を販売することで、様々なトラブルが発生するのを避けるために、自主的に全損養老保険の契約形態で保険を引き受けることを自粛することとなりました。

【保険導入後のリスクについて】

途中で保険を解約すると、個人の負担した税金部分が損をすることになる

保険を中途解約した時の解約返戻金の受取人は法人となっています。法人が解約返戻金を受け取った場合には、解約返戻金の全額が雑収入として利益計上されます。

一方、保険料を払っている期間(5年間)は、保険料の一部(初回は全額)がみなし役員報酬として、当該役員が所得税&住民税を払っていますが、保険を中途解約して法人がすべての解約返戻金を受け取ってしまっても、今まで支払った所得税&住民税は戻ってきません。

保険期間中(10年間)は解約できないと理解しておく必要がありますただし、保険を担保として法人が契約者貸付を受けて、保険会社から現金を借入れすることはできます。

当該役員の手取りの減少が発生する

保険料を払っている期間(5年間)は、保険料の一部(初回は全額)がみなし役員報酬として、当該役員が所得税&住民税を払うことになるので、個人の税金が増えることになります。

税金が増えても、満期まで当該役員は現金が受け取れませんので、5年間の個人キャッシュフローが苦しくなることが考えられます。

【ドル建て養老保険のメリット】

みなし役員報酬額と社長からの借入金と相殺することも可能

保険料を払うことで発生する「みなし役員報酬」と、会社が社長から借入れている「借入金」とをぶつけて相殺することもできます。

保険料の1/2を社長からの借入金返済に充てるという発想も可能です。社長からの「借入金」は、社長が死亡した時の相続財産となってしまい、相続税の支払いに支障をきたす可能性があるため、養老保険を活用して「借入金」を消し込んでしまうのは有効な手段の一つです

満期金を一時金で受け取った場合は「一時所得」となり、税制面で有利となる

養老保険の満期金を一時ですべて受け取る場合、増えて戻ってきた部分が一時所得となりますが、一時所得の認定額の約半分は無税となっています

【受け取った年の年収に加えられる額】
(受け取った満期金 ー みなし役員報酬額[必要経費] ー 50万円)× 1/2

【例】
満期金(5000万円)ー みなし役員報酬(2500万円)ー 50万円 × 1/2 =1225万円
この1225万円がその年度の年収に加えられて税金計算がされます。
2500万円増えて戻ってきたのに、半分は非課税となり、課税対象額は 1225万円だけとなります。

この1225万円に個人の税金がかかりますので、個人の税率がほぼ最高税率の50%だとしても、5000万円の満期金を受け取った際の納税金額は612万円(1225万円×50%)だけとなります

満期金を年金型で受け取ると、ほとんど税金がかからなくなる

養老保険の満期金を年金型(5年)で受け取る場合、毎年受け取る年金は「雑所得」となります。

5年という確定した期間で受け取る年金は「確定年金」と呼ばれます。確定年金の場合の「総支給見込額は【年金年額 × 支給期間】となります。

そして年金を受け取るための「必要経費」は下記の計算式で算出されます

【例】
1年間の年金受取額: 1000万円(受取期間5年)
払込保険料の総額: 5000万円
確定年金の総支給見込額: 5000万円

【雑所得】
1000万円 ー ((1000万円 × (5000万円 ÷ 5000万円)) = 0 円

上記のように、年金型で受け取る場合は、ほとんどが無税となります

保険料の一部を法人が負担したかどうかがなくなり、保険商品そのものでプラスになるかどうかで計算されるためです。養老保険は払った保険料と満期保険金がほぼ同額となる商品です。解約返戻金が増えていないため課税されない理屈となります。

資金の流れが派手にならない

法人が支払う保険料は全額損金なので、保険料が会社の帳簿に資産として残らないので目立たない。かつ、大きな保険の満期金も会社を通さず、保険会社から個人が直接受け取るので、ここでも会社の帳簿を汚すことがありません。

満期金を受け取る個人側も、年金型で受け取るのであれば、満期金を分散して受け取ることになるので目立ちにくくなります。

年金額の上限は3000万円までに抑える必要があります

保険会社のルールとして、年金額の上限は30万ドルか3000万円が上限となっていて、それを超える部分は一時金で受け取る必要があります。

年間保険料が2300万ドル(約3000万円)を超える場合には、保険証券を分けたり、被保険者を分散したりする必要があります。

税務上のリスクについて

Ⅰ. 保険料の1/2を支払保険料で損金計上しているが、それが給与認定となるリスク

万が一の死亡保険金の受取人が法人となっているため、保険料の1/2が支払保険料(損金)として経理処理をすることになっているが、税務署の見解によっては、それでも保険料全体が給与として認定してくる可能性もありえる。

Ⅱ. 年金受け取り時の必要経費が個人負担した部分だけと言われるリスク

年金を受け取る時の収入は「雑所得」となり、その場合には個人がみなし役員報酬として個人負担した部分以外の、法人が負担した保険料部分(支払保険料として)も必要経費となると税制で決められているが、法人が負担した部分は法人が負担しているのだから、個人の必要経費の計算には含めない、と言われる可能性がある。

当社でのこの保険取扱い条件は会計コンサルを引き受けていること

保険を導入するお客様が安心して加入できるために、この提案は当社と提携している税理士を顧問にしているか、当社のコンサルティング先だけに販売する方針としています。

その理由はお客様を守るためです。

保険の税務知識を深く理解している税理士は少なく、税務調査の際に、万が一、税務調査官から保険について質問を受けた時に、正しい回答ができない場合、ご加入中の保険が間違った税務処理をさせられる可能性があるためです。

また保険の導入時にも、この保険契約形態への正しい理解が無いために、文献や根拠を調べることなく保険の経理処理に反対する税理士がいるためです。

正しい保険の経理処理を理解して、税務調査の時には安心して任せられる関与税理士でないと、お客様と私たちが安心して、この効果的な保険を活用できないからです。

私たちとパートナー税理士に税務顧問契約を任せていただければ、日々の会計業務が楽になり、最新の税務情報(us_yourou)も得られるため、社長の会社経営が安全で楽になります。この保険導入の際に、当社チーム(inforance7550)への税務顧問の変更もご検討いただければ幸いです。

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