保険料が全額損金となる医療保険の条件とは(法人保険)

法人契約をする場合、契約内容をどうするかで保険料の経理処理が変わってきます。どのような契約内容でどのように経理処理がかわるのかを解説していきます。

メンバー専用記事では、法人契約における医療保険の最適な活用方法について、さらに詳しく解説しています

2019年の保険の税制改正による経理処理の変更点

法人向けの定期生命保険は国税庁によって2019年7月に税制改正が行われました。そして新たに、保険料の損金性の取り扱いの新ルールが設けられました。

この税制改正では、法人が契約する保険の解約返戻率の大きさに応じて、資産計上と損金計上の割合が定められており、いっけん複雑な内容になっていますが、以下の図のように分類されてルール化されました。

損金割合の条件4パターン

法人向け医療保険の経理処理はどうなるのか(2019年税制改正対応)

医療保険とは、病院に入通院をして医療費を支払う場合、その一部を負担してくれる保険のことです。公的医療保険ではカバーしきれない費用負担に備えるための保険です。医療保険は個人で加入すべきものだと一般的にはとらえられていますが、いずれ個人のものになるだろう医療保険を、一定の条件のもとで法人で保険加入をすると、保険料が全額損金となって法人の経費負担となります。オーナー社長が税金を引かれて手元に残る可処分所得で保険料を負担する必要がなくなるので、社長個人にとっては大きなメリットがあります。

全額損金の医療保険

国税庁法令解釈通達9-3-5による取り決めで、医療保険の年間保険料を30万円以下にすることで保険料の経理処理は全額が損金になり、法人にとって税務上のメリットがあります。下記に国税庁が出している法令解釈通達9-3-5を抜粋して掲載しておきます。この通達に沿った経理処理を行うことになります。

【国税庁法令解釈通達9-3-5の抜粋】

法人が、保険期間を通じて解約返戻金相当額のない定期保険又は第三分野保険に加入した場合において、当該事業年度に支払った保険料の額が30万円以下であるものについて、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときには、これを認める

「国税庁法令解釈通達9-3-5」では、もう1つの契約形態についても「国税庁法令解釈通達9-3-5の2」で言及しています。これによると、上記の30万円以下の医療保険のような契約形態の他にも、「国税庁法令解釈通達9-3-5の2」に沿った内容で保険契約をすることで、保険料の経理処理は全額損金で認められます。

【国税庁法令解釈通達9-3-5の2抜粋】

ただし、これらの保険のうち、最高解約返戻率が70%以下で、かつ、年換算保険料相当額が30万円以下の保険に係る保険料を支払った場合については、9-3-5の例によるものとする。(令元年課法2-13により追加)

「国税庁法令解釈通達9-3-5」の新しいルールにより、その条件下では、保険料の経理処理が損金になる生命保険の契約形態も存在するようになりました。どのような生命保険をどのように契約すると、保険料の全額が損金算入できるのかは、お客様に正しい説明を提供して進めていかなければならないため、個別でのご相談か、「メンバー専用記事」にてご案内をさせていただいております。

中小企業のオーナー社長にとって有効な医療保険

社長を含む個人は、さまざまな税金(所得税/住民税/社会保険料など)が引かれて、税引き後の残った現金(可処分所得)から、生命保険料を捻出しなければなりません。

しかしオーナー社長であれば、社長個人の保障を個人のお金で準備するよりも、会社の経費で負担してもらえたらお得ですね

個人の大切なお金を保険料に充てるのではなく、一生涯の保障をする医療保険やガン保険の保険料を会社の費用負担(全額損金)で準備するのが得策だと思います。そして社長の可処分所得(税引き後の大切なお金)は、保険料支払いにではなく、生活に必要な別のことに使うとよいでしょう。

全額が損金にできる医療保険の加入方法は各被保険者の年間保険料が30万円以下

死ぬまで一生涯、保障してくれる医療保険の全期間分の保険料を、10年間ですべてを払い込んでしまう「10年払いの医療保険」があります。(短期払い医療保険とも呼ばれています)

この保険料を30万円以下にすることによって、保険料は全額損金になります。つまり会社の経費として認められます。

10年間を払い終わった医療保険は、生存退職金の一部(現物支給)として、法人から個人に渡すことができます。その払い込みが終わった医療保険を社長が持っているだけで、一生涯の医療保障というお守りを格安で準備することができたということになります。


損金になる範囲の考え方(保険料が30万円以下の被保険者が5人いれば150万円の保険料が損金)

年間保険料が30万円以下の医療保険に加入する役員が5名いた場合、150万円(30万円✕5名)の保険料が損金として認められます

その理由は、1名ごとに「保険料が30万円以下だと払った保険料は、「損金の額に算入しているときにはこれを認める」と書かれているからです。

オーナー社長であれば、親族の役員に30万円以下の医療保険を付与して、役員の個人的な医療保障を準備してあげることが可能となります。150万円の損金額となれば、利益企業の場合での税効果メリットも発生することになります。

保険料30万円以下のルール(グループ会社ごとに保険料はそれぞれ損金になる)

例えば、医療法人とMS法人の両方を経営しているような場合、理事長と奥様が両会社で役員になっているようなケースがあります。その場合、医療法人とMS法人の両社で、理事長と奥様がそれぞれ30万円ずつ加入して、保険料を損金にすることができます。(社長が個人で加入している保険や別法人で加入している保険の保険料を含めて30万円以下の保険料にする必要はありません)。

医療法人
理事長 医療保険(30万円以下)に加入 ➡全額損金になります
奥様 医療保険(30万円以下)に加入 ➡全額損金になります

MS法人
理事長 医療保険(30万円以下)に加入 ➡全額損金になります
奥様 医療保険(30万円以下)に加入 ➡全額損金になります

合計で120万円の保険料が損金として認められます

加えて「国税庁法令解釈通達9-3-5の2」に当てはまる契約も加入すると、さらに倍の保険料(240万円)まで損金算入になります。このケースの場合なら120万円の2倍の240万円まで全額損金にできます。この詳細な加入方法については、個別相談やオンライン相談で案内しています。または、「メンバー専用記事」の方で解説しています。

関与している会社数が多ければ多いほど、それぞれの会社で全額損金にできる保険の加入枠(30万円以下の保険料✕2倍)が利用できることになります。

【例】グループ会社数 3社 各会社の役員数 2名 の場合
3社✕2名✕2契約✕30万円 = 360万円(損金算入できる保険料の枠)

※30万円以下の保険料が「国税庁法令解釈通達9-3-5」のルールに沿って全額損金として認められるためには、細かい注意点がいくつかありますので、ご加入を検討する場合には、当社の方にご相談ください。

グループ企業

医療保険のまとめ

年間保険料が30万円以下の医療保険は経費扱いとなって、社長の疾病リスクに備えることができます。将来的にその一生涯の保障が続く医療保険を会社から社長個人に退職金の一部等で移すことができるため、社長個人の医療保険の準備にもつながります。企業オーナーであれば、個人の医療保障は法人で準備することをお勧めします。

さて、法人での医療保険の導入においては、弔慰金規程を整えたり、その内容の適正なバランスを調整したりすることが必要で、保険の知識に加えて経営や税務の知識も必要となります。

また、すべての生命保険会社が税効果を出せる医療保険を持っているわけではありません。私たちは、医療保険をどのように利用するかの目的や条件によって、約40社もあるすべての生命保険会社の中から最適な保険商品を選び出すお手伝いをしています。

保険代理店

会社経営における生命保険の活用

保険業法による規制により、保険代理店による生命保険の販売は、保障を目的として案内をすることだけで制限されており、損金性や金融商品的な提案をすることは禁じられています。そのため、「法人保険ナビ」でも提案や表現に制限があり、その許された狭い範囲の中で表現を行っています。そのため、私たちが伝えたいことを正しくわかりやすく伝えられていない部分が多く発生しているかもしれません。

そのため、効果がある本物の保険提案は、実際にお会いして経営課題をお話いただく中で提案させていただきたいのです。お会いして提案させていただく機会をいただければ、経営において非常に効果的な保険活用方法をご案内することができると自負しています。税理士や金融機関から今まで聞いたことがない本物の保険提案を味わってほしいと願っています。

また、法人保険ナビでは、既契約のお客様やメンバー様向けに、さらに具体的な生命保険の活用方法や、オーナー経営者にメリットがあるための経営ノウハウが分かりやすく書かれているメンバー専用記事を用意しています。

直接お会いして保険導入をご検討いただいている新しいお客様や、オンライン相談をさせていただいている新しいお客様にも、期間限定で開放してお読みいただけるようにもできますので、メンバー専用記事をお読みになりたい方は、ご相談の中でご用命くださいますよう、よろしくお願いします。

メンバー専用記事

有難いことに、私たちは創業から20年で、お取り引きいただいているお客様企業数は日本全国で3000社を超えました。北海道から沖縄まで拡がっています。

私たちは生命保険の提案だけにとどまらず、オーナー社長にとってメリットがある様々な提案を、公平な視点で、幅広くアドバイスをさせていただいております。

また、実際の保険導入で現在の顧問税理士先生に保険活用をご理解、ご納得をいただけないような場合には、私たちの保険提案手法や税制を正しく理解し、保険の導入から税務調査対応まで、しっかりサポートできる優秀な会計事務所を無料でご紹介することもできますので、保険の導入において顧問税理士のご理解が難しくてお困りの場合などは、こちらのサポートも併せてお任せください。



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