逓増定期保険の名義変更について。国税は課税方法の見直しのパブリックコメント(意見公募手続)の結果を発表(2021年6月)

定期保険の名義変更ルール変更

国税が2021年4月28日に、新たに「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)の概要を提示して、パブリックコメント(意見公募手続)の受け付けを実施して、その回答を出しました(2021年6月18日)始めました。

最終的にはFAQのような形でも追記発表があると思われますが、おおむね当初の通りで運用されることになりそうです。2021年6月25日に命令の公布がされました。

案件番号:410030005
「所得税基本通達の制定について」の一部改正について(法令解釈通達)
根拠法令条項 所得税法第36条
案の公示日 2021年4月28日
結果の公示日 2021年6月18日
命令等の公布日 2021年6月25日

パブリックコメント(意見公募手続)とは

「国税庁では、「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正について、別添のとおり予定しているので、これらの改正につき御意見等がありましたら、電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォーム、FAX又は郵便等によりお寄せください。」という、今回の改正について国民からの意見を広く受け付けるという制度手続きのことです。

改正等の背景(国税の意見)

所得税法上、使用者が、役員又は使用人に対して、生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約(以下「保険契約等」といいます。)に関する権利を支給した場合には、支給時において保険契約等を解約した場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額。以下「支給時解約返戻金の額」といいます。)で評価すると取り扱っています。

他方で、「低解約返戻金型保険」や「復旧することのできる払済保険」など解約返戻金の額が著しく低いと認められる保険契約等については、第三者との通常の取引において低い解約返戻金の額で名義変更等を行うことは想定されないことから、支給時解約返戻金の額で評価することは適当でないと考えます。

改正案の概要(国税の意見)

法人税基本通達では、保険契約等に関する権利について、支払保険料の一部を前払保険料として資産に計上する取扱いが定められています。このような法人税基本通達の取扱いを踏まえ、使用者が、役員又は使用人に対して、解約返戻金の額が著しく低いと認められる次の保険契約等に関する権利を支給した場合には、次の金額で評価することとします。

(1) 支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の 70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額により評価する。

(2) 復旧することのできる払済保険その他これに類する保険契約等に関する権利を支給した場合には、支給時資産計上額に法人税基本通達9-3-7の2の取扱いにより使用者が損金に算入した金額を加算した金額により評価する。

(注1)「支給時資産計上額」とは、使用者が支払った保険料の額のうち当該保険契約等に関する権利の支給時の直前において前払保険料として法人税基本通達の取扱いにより資産に計上すべき金額をいい、預け金などで処理した前納保険料の金額、未収の剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額を加算した金額をいいます。

(注2)今回の見直しの対象は、法人税基本通達9-3-5の2の適用を受ける保険契約等に関する権利としていますが、法人税基本通達の他の取扱いにより保険料の一部を前払保険料に計上する「解約返戻率の低い定期保険等」及び「養老保険」などについては、保険商品の設計などを調査したうえで、見直しの要否を検討します。

適用時期(国税の意見)

改正後の所得税基本通達の取扱いは、令和3年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給について適用します

(注)法人税基本通達9-3-5の2の取扱いは、令和元年7月8日以後に締結する保険契約等について適用するとされていることから、同日前に締結した保険契約等は、原則として、見直しの対象にならないものと考えます

所得税基本通達の現状内容(改正前)

(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して支給する生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約に関する権利については、その支給時において当該契約を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額)により評価する。

所得税基本通達の改正後内容(予定)

(保険契約等に関する権利の評価)
36-37 使用者が役員又は使用人に対して生命保険契約若しくは損害保険契約又はこれらに類する共済契約(以下「保険契約等」という。)に関する権利を支給した場合には、その支給時において当該保険契約等を解除したとした場合に支払われることとなる解約返戻金の額(解約返戻金のほかに支払われることとなる前納保険料の金額、剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額との合計額。以下「支給時解約返戻金の額」という。)により評価する。

ただし、次の保険契約等に関する権利を支給した場合には、それぞれ次のとおり評価する

(1) 支給時解約返戻金の額が支給時資産計上額の 70%に相当する金額未満である保険契約等に関する権利(法人税基本通達9-3-5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、当該支給時資産計上額により評価する。

(2) 復旧することのできる払済保険その他これに類する保険契約等に関する権利(元の契約が法人税基本通達9-3-5の2の取扱いの適用を受けるものに限る。)を支給した場合には、支給時資産計上額に法人税基本通達9-3-7の2の取扱いにより使用者が損金に算入した金額を加算した金額により評価する。

(注)「支給時資産計上額」とは、使用者が支払った保険料の額のうち当該保険契約等に関する権利の支給時の直前において前払部分の保険料として法人税基本通達の取扱いにより資産に計上すべき金額をいい、預け金などで処理した前納保険料の金額、未収の剰余金の分配額等がある場合には、これらの金額を加算した金額をいう。

附 則
(経過的取扱い)
この法令解釈通達による改正後の所得税基本通達は、令和3年7月1日以後に行う保険契約等に関する権利の支給について適用し、同日前に行った保険契約等に関する権利の支給については、なお従前の例による。

当社の感想

これからパブリックコメントによって、国民から広く意見を聞いて最終的な決定に至る予定ですが、おそらくこの方向性でほぼ変わらなく決定されるものと想定しています。その場合、保険種類には関係なく幅広く適用されることが想定できます。

また、2021年7月1日以後に発生する名義変更手続きに適用されるので、現在、逓増定期保険に加入していて名義変更手続きを想定している保険契約をお持ちの契約者の方々は、2021年6月30日までに、方向性を決定して何かしらの対応をするのであれば、その手続きを完了させておく必要が出ると思われます。

当社を通じて保険契約手続きをしていただいたお客様の対応は当社で行えますが、他の保険代理店を通じて契約した保険については当社でお手伝いをすることが法律的にできません。ですので、既契約の相談を受けても、その対応について当社でお手伝いすることはできないのでご了承ください。

この件について、当社のご契約者ではない企業からも、かなりお問い合わせによるご相談をいただきますが、今回の「所得税基本通達の一部改正」について、しっかりとした対応をしていない保険代理店が意外に多そうです。ですので、対応の手続きが後手に回らないように、元受けの生命保険会社にも連絡を取り、6月中にどう対応するかの方向性を固めて実行するなら実行するようにしてください。

経過推移がわかるように、下記は2021年3月時点の掲載文章を引き続き掲載しておきます

国税は定期保険の名義変更についてのルール変更を検討中

国税は特定のケースにおける定期保険の課税方法の見直しを検討中

2021年3月に国税庁は各生命保険会社に対して、法人契約の定期保険について、法人から個人に名義変更した時の保険評価額の見直しをする検討に入ったと報告しました。

法人契約の定期保険には、当初数年間の解約返戻率が低く抑えられた保険商品があります。
この解約返戻率の低さを利用して、解約返戻率の低い段階で保険を法人から個人に名義変更する方法が存在しています。

法人から個人に名義変更する時の保険価格が、低い時価評価額(=解約返戻金)なので、

安い時価で保険を法人から個人に名義変更して、その後、個人は保険を継続すると、急に解約返戻率が増加するので、会社の利益が個人に移行することになるのです

今回、国税庁が新たな課税手法を導入して、法人から個人に名義変更する時の保険評価額を高くするようです。

この新しい課税手法は、下記の条件下で発生するように変更することが検討されているようです。

  • 法人契約の定期保険を法人から個人に名義変更した場合に適用
  • 解約返戻金が資産計上額の70%未満の場合には帳簿上の資産計上額で評価
  • 2019年7月8日以降に契約した定期保険を対象
  • 2021年6月末に新ルールを施行予定

今回、税制改正ではなく、新しいルールの導入で、特定の保険の運用ルールが変わることになると思います。

税制がかかわる法人の保険は、このように急にルール変更が検討されることがあります。企業にとっては不可抗力ですが、新しいルール下においても、法人にとって生命保険は必要であり、様々な面で効果があります。

国が定めたルールに沿って、効果のある生命保険活用の方法はどうすべきなのか、企業側に立って一緒に考えていきたいと思っています。

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