上場会社のオーナーが封じられた「配当節税」方法

上場会社のオーナーが受け取る配当所得に関する税率が変更になり、2023年10月以降、メリットが無くなった。上場企業の配当金にかかる税率がどう変わったのか解説をします。

上場会社のオーナーが受け取る配当金は税率が優遇されていた

上場企業のオーナーが、個人資産管理会社を利用して個人の配当所得に適用される税率を低く抑える(約20%)節税策が、2023年10月以降からできなくなりました(税率が高い総合課税になったのです)。

今までのやり方では分離課税でいけましたが今後は総合課税に変わるのです。

上場会社オーナーによる今までのやり方

今までは、上場会社のオーナーが持つ自社株の割合が、全体の3%未満であれば分離課税にできました。そのため、3%を超える部分は個人的な資産管理会社(同族会社)に持たせることで、実質的にはオーナーとして全体を分離課税でもらえるように対策をしていたのです。

しかし22年度の税制改正で、2023年10月から適用されるルール変更によって、この手法がダメになりました。個人の持ち分割合が3%未満の株主の場合でも、同族会社との合計で持ち分の割合が3%以上ならば、オーナー個人が受け取る配当も総合課税となり、最大55%の税率が課せられます。

配当金に課税するのは二重課税である

企業が法人税を支払った後の税引き後の利益を株主に配当として支払った時に、そこで再び課税が行われています。つまり配当というのは法人税と所得税を二重に課されている意味で不利な扱いをされています。よって株主はロジカルに考えて、不利な税制下にある配当の形ではなく、配当せずに利益を内部留保することで株価を上昇させて、株価上昇のキャピタルゲインによって利益配分を受けた方がよいということになります

しかし、上場会社オーナーの場合、配当金を上手に受け取ると約20%の税率しかかからなかったため、配当全体の税制としては不利でも、個人としては配当所得は大きなメリットがあったため、配当金という形で利益分配を受けることを良しとしていました

しかし、上場会社の配当所得の計算方法が変わり、上場会社のオーナーが配当金で報酬をもらう形が、本当に不利になりました。法人税(最大約35%)+個人の総合課税(最大55%)の最大合計税率が90%です!

税制ルール改正後の動きはどうなるだろうか…

上場会社のオーナーは、この税制改正後は個人で株を保有して配当金を受けるメリットが無くなったので、今後は個人が持つ全ての株を資産管理会社(同族会社)に移すしかないだろうと思われます。企業オーナーにとって会社を上場させる大きなメリットだった配当金の分離課税がなくなった今、会社を上場させるメリットには何があるのか、再考させられる機会となりそうです。

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