オペレーティングリースによる節税
目次
オペレーティングリースとは
オペレーティングリースとは単純に仕組みを言えば、各事業会社でお金を出し合って商品を購入してそれを貸し出す事業を行うことです。その事業で当初は大きな費用が先に発生するため、その「費用」が損金になって節税になる仕組みです。
オペレーティングリースの仕組み
各事業会社でお金を出し合い、それに加えて巨額な借り入れを行って資産を購入して、その資産を貸すことで収益を得る事業を行います。
出資額と借入額の比率は、出資が2~3割、借り入れが7~8割にするケースが多く、借り入れが大きいのが普通です。
オペレーティングリースの金額はかなり大きく、出資額は通常1000万円単位です。商品は航空機やコンテナなどになります。
【オペレーティングリースの事例】
1. リース会社が匿名組合を組成して出資を出し合う
2. 金融機関から借り入れを受ける
3. 航空機を購入する
4. 飛行機を航空会社にリースして毎年の収益を得る
5. リース期間が終わったら飛行機を売却して売却代金を分け合う
この航空機リースは、たとえば5000万円を投資すれば初年度に約3000万円の特別損失を計上できる感じです。
オペレーティングリースがなぜ節税になる?
節税になる理由は、金額の高い商品が「減価償却」するからです。
航空機やコンテナは減価償却して毎年価値が下がっていきます。そのため匿名組合では商品の価値が下がった額を損失として計上できるのです。
この損失は、匿名組合の出資者の出資額割合に応じて分配されます(損失分配金)。出資した会社はそれを「特別損失」として計上するのです。損失分配金は出資額を限度として損金に計上できます。
減価償却の期間が短くてその額が大きければ、出資会社で多額の「特別損失」が発生するので、会社は大きく節税ができることになるのです。(償却の計算方法には「定率法」を使って初期段階の償却額を大きくするようにします)
当初はリースによる収益よりも減価償却によって発生する「特別損失」の方が遥かに大きいので目先の節税になるのです。
オペレーティングリースによる節税の利用価値
オペレーティングリースは、目先は節税になるのですが、後半は大きく利益になります。航空機オペレーティングリースは、出資額相当の損失を先取りし、利益を繰り延べているだけです。リース期間終了時に航空機を売却する際には一気に利益があがります。そのため本当の節税とは言えず、単なる「利益の繰り延べ」なのです。
当社が案内している生命保険とは大きな違いです。しかし、オペレーティングリースによる節税は、不動産の売却益等の、今期だけ突発的に大きな利益が出た時には効果があると言えます。
オペレーティングリースは事業承継対策にも有効
使い方のタイミングは難しいですが、オペレーティングリースを導入すると、目先に大きな損失を発生されることができます。大きな損失が発生することで、自社株の評価が下がり、このタイミングで事業承継ができれば、相続税や贈与税の節税になります。退職に合わせて退職金も出して損金を増やせば、さらに株価を下げることができて事業承継には相性が良くなります。