消費税コストを削減できる方法
目次
消費税って節税できるの?
決算対策で法人税は減らせても消費税はなかなか節税できないと思っていませんか?
消費税額は少しずつ上がってきて、2020年現在では10%にもなっていますから、どうにか節税対策を打ちたいものです。
そのような時、消費税を削減する方法として広く行われているのが、「外注費」の活用です。
外注費を上手に活用する
外注を活用した消費税削減の対策とは、「人に社員やアルバイトとして働いてもらうのではなく、業務委託契約や請負契約などを結び、社員としてではなく外部の人として、つまり外注費(業務委託費)を払って働いてもらう」ことです。
税制上のメリットがあるため、外注を活用している企業は多くあります。その理由は、従業員に支払う給与は消費税を乗せて払うことができないのに対して、外部の人に支払う外注費は消費税を乗せて払うことができるからです。
ただし、社員をただ単に外注として処理しているだけだと、税務調査で「外注費」ではなく「給与」として認定されてしまうリスクもあります。せっかくの消費税削減の対策が否認されてしまうことがないように、しっかりした対外的な対策は必要となります。
消費税の仕組みについて
消費税の仕組みもザックリとおさらいしておきましょう。
売上にかかる消費税(預かった消費税)から仕入や経費にかかった消費税(支払った消費税)を差し引いた残りが、消費税の納税額となります。そして、これを仕入税額控除といいます。
「課税売上げに係る消費税額」-「課税仕入れ等に係る消費税額(仕入税額控除)」
そしてこの仕入税額には、「控除の対象となる取引」と「控除の対象とならない取引」があります。
- 控除対象となる取引:外注費(消費税が課税され、消費税部分も含めて外注先に支払う)
- 控除対象とならない取引:給与(消費税は課税されないので給与に消費税を上乗せして払えない)
このため、給与の場合は支払った消費税がありませんが、外注費の場合は支払った額に消費税が乗っているため、外注費で処理した場合の方が自社で払う消費税の納税額は少なくなります。外注の受け手側としても、受け取った金額が消費税分大きく見えるため、発注側の企業は報酬の一部を消費税で支払った感覚になります。したがって、従業員と外注が同じ仕事をするのなら、課税取引の対象とならない給与ではなく、業務委託に基づいた外注として契約する企業が増えてくるのです。
源泉所得税や社会保険料も削減できます!
そして削減できるのは消費税だけではありません。源泉所得税、社会保険料の税金も減らすことができます。
会社が従業員へ給料を支払う時には、事前に所得税分を差し引いておきます。これを源泉徴収と呼び、会社は源泉所得税として税金を納めなければいけません。一方で雇用関係のない外注費であれば、所得税の源泉徴収税を支払う必要も、社会保険料もかかりません。
税金で大きな額になるのは消費税だけでなく、源泉所得税や社会保険料の額も同様です。社員への給料ではなく、外注にするだけで源泉徴収税額や社会保険料も削減できるのです。
外注を否認されるリスクは?
税務や社会保険の面で有利だからといって、実態を無視して、「給与」を「外注費」として処理することはおすすめできません。仮に、業務委託契約書や請負契約書を締結していたとしても、「実質的に社員と同じ働き方をしている」と捉えられた場合、外注費ではなく給与所得と認定されて未納分の消費税支払いを命じられる可能性があります。
「外注費」と「給与」のどちらに該当するかははっきりとしない部分が多く、明確な線引きが難しい面もあります。
そこで、国税庁より公表されている一定の判断基準を参考にしましょう。
社員か外注かは…
- 業務の内容が他人の代替を容認するか
- 時間的な拘束を受けるか
- 業務実行に指揮監督を受けるか
- 成果物が事業者の期待通りでなくても、それに対する支払いがなされるか
- 業務の実行に当たり必要な材料や用具などが与えられているか
1.代替性の有無
他の者が当事者に代わり役務の提供をできない場合や、本人が自らの判断で第三者を使うことが認められていない場合は代替性が無いと言えます。それは実質従業員であり、給与支払い対象者と考えられます。
2.拘束性の有無
外注であれば成果物に対して報酬は支払われます。反対に、労働時間に対して報酬が支払われる場合、それは給与支払い対象者と考えられます。
3.指揮監督の有無
作業において、具体的な内容や方法について指揮監督を受けているかで区分をします。自己の責任において裁量をもって仕事をしているなら外注で、指示された作業をしているなら給与と支払い対象者と考えられます。
4.報酬請求権の有無
給与が労務の提供に支払われるのに対し、外注費は成果物に対して報酬が支払われます。つまり、成果物を渡さなければ報酬を請求できない条件であれば外注、労働時間を基準として支払うのであれば給与支払い対象者と考えられます。
5.材料又は用具等の供与の有無
職務遂行に当たり必要な旅費、設備、備品等の費用負担において、それを自己で負担している場合は外注費、会社負担でしていれば給与支払い対象者と考えられます。
「外注」は税制上メリットが大きいが、社員との違いを明確にする必要性がある
外注費になるのか、従業員とみなされてしまうのか、これは税務調査の際に目を光らせられるポイントになります。ですので、企業は対外的にどう見えているのか、はっきりと外注費であることが証明できるのか、再確認するべき点だと思います。