非常勤役員の報酬はいくらまでが妥当?

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非常勤役員の報酬はいくらまでが妥当?

オーナー企業の会社では、個人の節税のために代表者の家族(妻、親、子、兄弟)を非常勤の役員として登記しているケースが多く見受けられます。日本は累進課税がきついため、所得を分散した方が個人の税率を下げられるためです。

家族を従業員やアルバイトとして雇用する場合、他の従業員と同様に労働の対価として給与を支払うことが通常です。勤務実態として、月に2~3日しか出社していない、経営の相談相手や簡単な経理のみをお願いするだけなど、その身内への給与額が労働に見合わない過大なものとして、否認されてしまうケースがほとんどです

非常勤役員とすることのメリット

しかし、そういった雇用形態ではなく、非常勤の役員として登記した場合の給与は役員報酬として認められます。役員報酬の場合は労働対価ではなく会社経営の委任関係によるものなので、出勤日数などはほとんど考慮されることもなく、不相当に高額でない限り否認もされにくいものです。そのため、同族会社には家族の非常勤役員が多く登記されているのです

非常勤役員の報酬はいくらまでOKか?

となると、その非常勤役員の報酬はいくらが妥当なのかという問題です。親族を非常勤役員にする場合、報酬をいくらにすればよいのか、悩ましい問題です。

委任によるものですから、いくらでも好きな額を報酬にできそうなものですが、不相当に高額な報酬は税務上否認される場合があります。なので、いくらが妥当なのか、過去の判例をもとにご紹介します。

平成17年12月 国税不服審判所の判決

非常勤役員に対する役員報酬を月額300万円(年間3600万円)としていたが、類似法人から算出した報酬額を適正と判断し、税務調査により過大であると否認された。

不服審判所の判決によると、月額15万円×12ヶ月の年間180万円が妥当と判断されました。また、他の判例をみても、おおよそ月に5~15万円が妥当であると言えます。

■ 税法上での限度額についての明記 

「役員報酬は原則として損金の額に算入されますが、過大な報酬については損金算入しない」(法人税法34条)

ここで言う過大な報酬とは、次のようなものであり、金額は明示されていません。

■ 定款に規定または株主総会等の決議によって定められている役員報酬として支給限度額を基準とする額を超える場合。

■「役員の実際の職務の内容」「法人の収入・利益」「使用人に対する給料の支給状況」「類似業種、同規模等の役員報酬の支給状況」など照らして適正と認められる金額を超える場合。

このように、適正な役員報酬額は、会社の様々な状況によって、また、役員個人の勤務内容のよって異なります。そのため、経営において重要な役割を担っている場合や、現場指揮など、常勤役員並みに働いている場合はこの限りではありません。この、「常勤役員並み」にという言葉には注意が必要です。

非常勤役員にするには登記が必要?

非常勤役員を選任する場合には登記が必要となります。常勤か非常勤かの決定については登記する必要はありませんが、常勤か非常勤かにかかわらず新たに役員を選任する場合には登記が必要となります。司法書士などの専門家に任せれば2週間程度で済ませることができます。

家族を非常勤役員にするなら給与は非課税枠内にするのも手

身内の常勤役員は社長の被扶養者になれませんが、非常勤役員なら社長の被扶養者になることも可能です。被扶養者になれば新たに社会保険に加入する必要がありません。そのためには年収を130万円未満に抑える必要があります。

そして厳密に言えば、加えて1日の所定労働時間が正社員の3/4未満で、1ヶ月間の出社日数が正社員の3/4未満である必要があります。

月12万円程度の中途半端な報酬を出して社会保険支払いの対象者とするよりも、月105,000円の役員報酬にして、社長の被扶養者にして社会保険料を払わないことが賢明です

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